COLUMN

整理収納ついでに防災対策!災害に強い空間づくりから始めよう

2024.08.20
Organization・整理収納

日本は元々自然災害の多い国ですが、近年、地球温暖化の影響によって気象災害も増加傾向にあります。さらに人口が密集する大都市圏では、各自治体が「在宅避難」を前提とした準備を呼びかけるなど、個々の防災対策の強化が求められています。そこで今月は、防災士であり整理収納アドバイザーの資格を持つ関西支店の青木さんに、“防災を意識した片付け”についてお話を伺いました。

 

 
日常空間をしっかり整えること。
それが非日常の備えにもつながる

 
―― 整理収納アドバイザーと防災士。なぜこの2つに興味を持ったのですか?
青木アドバイザー(以下、青木):友人の片付けを手伝ったことから整理収納に興味を持ち、資格を取るために勉強を始めました。その後、整理収納で訪問したお宅で、防災用の備蓄品を大量にストックされているのを見た時、どれくらいが適量か?が分からずアドバイスできなかったんですね。それで防災のことも学びたいと思い、防災士の資格を取ることにしました。

 
―― 防災士とはどのような資格ですか?
青木:各自治体や大学などの教育機関、民間団体などが講習会を開催している民間資格です。私はNPO法人日本防災士機構が実施している講習会を2日間かけて受講しました。分厚い教本に目を通し、事前に出された課題の提出と講習会後に行われる筆記試験に合格すれば、防災士として認証されます。

 
―― 整理収納と合わせて防災対策もできますか?
青木:最初から“防災”を意識しすぎると心理的にもしんどいですよね。普段からお家の中をきちんと整理整頓していれば、いざという時のリスクもかなり軽減できますので、空間をスッキリ整えるところから始めることをお薦めしています。

 
―― 確かに普段から整理整頓されている家は、いざという時に安心安全ですね。
青木:そうなんです。日々の生活の中でできるところから丁寧に整えていくこと。非日常ではなく日常が大事です。例えば、足元にモノがたくさんあると転倒や怪我のリスクが高まりますし、重たいモノを棚の上部に置いてしまうと落下した時に危険ですよね。まず普段からきちんと整理整頓を行って、室内の安全を確保することが基本です。

 
不用品が減り空間に余裕が生まれれば、備蓄品もスッキリ収めることができますし、安全な収納にもつながります。あまり気負わず“防災につながる片付け”から心がけていきましょう。

 
第一に“生き残るための備え”、
第二に“生き延びるための備え”を考えよう

 
―― ちなみに防災対策といっても、何となく漠然としていてよく分かっていないかも(笑)。
青木:そうですね。防災で重要なポイントは二つ、第一に“生き残るための備え”第二に“生き延びるための備え”だと思います。

 
地震などいつ起こるか予測はできませんが、まず、「災害発生直後に元気で生き残れていますか?」ということです。怪我なく元気だからこそ、第二の“生き延びるための備え”が活きてくるのです。日頃から整理整頓ができていれば、万が一被災しても日常生活に近い状態が保てますよね。家具の転倒防止対策や危険な場所に滑り止めシートを敷くなど、家の中で安全な場所を確保することも “生き残るための備え”なのです。

 
―― なるほど。まずは生き残る対策…ですね。次に生き延びるための備蓄品は何をどれくらい用意したらいいのでしょう?
青木:今は在宅避難を想定し1週間分は備蓄するよういわれていますが、実は、被災して一番困るのがトイレなんです。1人1日、平均5回使用すると仮定しても最低35回分必要になります。4人家族であれば140回分です。結構な量になりますよね。

 

 

防臭力に優れているBOSの〈非常用臭わないトイレセット〉。本のように立てれば省スペースで収納可能。ミッシェル本社でもストックされていた。

 
お水や食料品は、使ったら買い足すローリングストック法がお薦めです。お水は、1人1日、約3リットルが目安とされています。缶詰やレトルト食品は、普段からお使いのものを多めに準備しておけば楽ですよ。古い順に手前から取れるよう収納の仕組みを作っておけば確認する手間もかかりません。収納の注意点としては、全てを1箇所に集めないこと。よく床下収納に全部入れてしまう方がおられますが、万が一水没したり、扉が塞がってしまったら取り出せなくなりますよね。分散収納でリスクヘッジすることも忘れないでほしいです。

 

その他、生活インフラである電気やガスが止まることを想定し、充電器や乾電池、簡易コンロなども用意しておきたい基本アイテムといえるでしょう。特にスマホのモバイルバッテリーは必須。充電して使える状態にしておくことに加え、乾電池式スマホ充電器があれば安心です。できれば年に1、2回中味を見直すタイミングを決めておくと、期限切れ品の入れ替えや不足品の補充ができて常に更新していけますよ。

 

4人家族3日分の備蓄品例。長期休みにおやつや昼食として消費し、ローリングストックしている。紙皿やコップ、食材を入れて湯煎もできるアイラップも一緒にストック。

 

キャンプで使っているランタンと簡易コンロ。ホワイトガソリンやガスボンベなどの燃料も一緒に備蓄している。保管場所は細心の注意を払うこと。

 
―― 具体的な目安を聞けてとても参考になります。ちなみに他に用意した方がいいものは?
青木:万が一避難することになった場合に備えて、持ち出し用のリュックも準備しておきたいですね。以前、高齢の方から「リストを参考に入れたら重くて持てないんだけど…」といわれたことがありました。そんな時は、「個人的に必要なものを優先してください!」とお伝えしています。例えば、お薬やお薬手帳、メガネ、アレルギー対応食などです。避難先で一般的なものは手に入ったとしても、特殊なものはご自身でしか用意できません。無いと自分が困るものを一度考えてみてください。

 

避難用リュックの中身は、持ち出す個人に合わせアレンジしよう。夏と冬で季節の対策グッズを入れ替えればさらに安心。

 
―― 最近はペットを飼われている方も増えていますが、何かアドバイスはありますか?
青木:ペットに関しては、ほぼ公助が及ばない部分なので、悲しい思いをしない、させないように、躾と備えがとても重要となります。具体的には、嫌がらずにキャリーバックやケージに入る訓練、ワクチン接種など健康面のチェック、餌やペットシーツ、お薬の準備、身元がわかるようにしておくなどです。日頃から様々な環境に慣らしておくことも被災時の備えにつながります。また、避難先によってはペットの同行を許可していないところもありますので、あらかじめ調べておくと安心です。

 
―― 住んでいるエリアや住宅事情、家族構成によって個々にアレンジが必要になりますね。
青木:そうですね。基本は押さえつつ、ご家庭の状況に合わせてアレンジできればより安心です。そのためにも整理収納アドバイザーとして、また防災士として経験を積み、お客様へ有益なアドバイスができるよう努力していきたいと思っています。
 
もしもの場合に備え、普段から生活空間を整えることの大切さを改めて痛感しました。防災士で整理収納アドバイザーの青木さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

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