COLUMN

カーペットクリーニングのプロに聞く!ついてしまった汚れやシミはキレイにできる?

2024.04.22
Clean up・お掃除

お客様から「カーペットのお手入れってどうすれば良い?」と相談されることがあります。毎日掃除機をかけていても、奥まで入り込んだ埃や髪の毛、食べこぼしのシミ、嫌な臭いなどを完全に除去するのは難しいため、プロによるクリーニングをご案内しています。そこで今月はミッシェルのパートナー企業であるカーペットドクターの高野代表に、カーペットクリーニングについて詳しくお話を伺いました。
 

 
知人の手伝いを機に
カーペットクリーニングの世界へ

 
―― アメリカのIICRCでクリーニングの理論と技術を学び、多くの資格を取得されているそうですが、カーペットクリーニングをやり始めたきっかけは何ですか?
高野社長(以下、高野):若い頃は英語の翻訳業をしていました。私が勤めていた会社は、コンピュータやソフトウェアの取扱書の翻訳が大半を占めていて、ほんとにつまらなかった(笑)。 その当時、ボランティア活動で日本在住の外国人サポートにも参加していたのですが、そこで出会ったアメリカ人がたまたまカーペットクリーニングをやっていたんです。横田基地や厚木基地に勤務している外国人からの依頼も多く、口コミでどんどん広がり、自分も手伝うようになったのです。

 
―― それで事業として本格的に始められたのですね。
高野:そうですね。汚かったものがキレイになるし、みんなが喜んでくれるのが嬉しくて…。翻訳の仕事は誰に向けてやっているのかイメージできなかったけど、クリーニングは喜ぶ人の顔が見える。そこにやりがいを感じました。

 
―― 渡米して専門資格を取得するに至った経緯は?
高野:件数をこなすうちに個人宅には色んな問題があることに気付かされました。大きな家具も移動しないといけないし、ペットの問題、ワインやコーヒーのシミなど汚れの質も様々で、「同じようにやっても、何でキレイにならない時があるんだろう?」と、いつもモヤモヤした気持ちを抱えていたんです。そんな時、知人が「アメリカに学べるところがあるよ」とIICRCを教えてくれて。そこから興味が広がっていきました。

 

―― IICRCとはどのような機関なのでしょう?
高野:IICRCは、クリーニングに関する技術標準を定め、知識の普及と消費者利益の向上を目的に設立されたアメリカの非営利団体です。日本でいえばJIS規格を設定する団体のようなものです。
IICRCホームページは (こちら

 
通常のカーペットクリーニングの他にも、火事や水害後の修復方法、カラーリペア、消臭除去、椅子のクリーニング方法など多くのカテゴリがあり、理論と技術の双方を教えています。機会を見つけては渡米し、7、8年かけてカテゴリごとに資格を取得していきました。最近はインストラクターの認定資格も取得し、RSA Japanで教えるようになりました。
RSA Japanホームページは(こちら

 

 

IICRCの教材と資格認定書。高野氏は複数の資格を取得されています。

 
Cleaning is Science!
科学的なアプローチで汚れを除去

 
―― 具体的にはどのようにクリーニングしていくのですか?
高野:汚れ(ソイル)が何なのか?を分析するところから始まります。カーペットの汚れは、主に糸くずや髪の毛、砂などドライソイルが7割、皮脂や汗、食べこぼし、アスファルトなどウェットソイルが3割といわれていますが、まず、ドライソイルを専用のドライバキュームで吸い取った後、残り3割のウェットソイルを除去していきます。基本的には衣類と同じで、洗い・すすぎ(脱水)・乾燥の3ステップで行います。

 
―― ウェットソイルの除去が難しいのでしょうか?
高野:そうですね。ウェットソイルは、水分、油分を含む汚れで繊維にしっかり付着しているんです。カーペットの素材と付着している汚れに合わせて洗剤を調整し洗浄していきます。

 
よくネットなどで「○○を使って絨毯の掃除を」なんて記事を見かけますが、場合によっては繊維が変色したり、手触りが全く変わったりすることがあります。素材のことをきちんと理解してないと、取り返しがつかなくなることもあるので、科学的な知識と経験が必須なんです。

 

 

水洗いの様子。専用の機材を使って丁寧に吸い取っていきます。

 

 

ミートソースをこぼしたシミもプロの技術によってここまでキレイに除去できました。

 
―― まさに科学の世界ですね!
高野:おっしゃる通りで、“Cleaning is Science”という言葉があるくらいです。理論的にわかっていないとダメで、エビデンスを持って作業に挑む感じですね(笑)。

 
―― つい何とかしなくちゃ!と、洗剤や漂白剤を使い変な色になったりすることありますが…。
高野:ぜひ、お客様に知っていただきたいことがあります。シミなどが着いてしまった場合、“いじらずそのままの状態”で相談した方が良いということです。応急処置のつもりで洗剤などをかけてしまうと、除去する工程が増え生地を傷めてしまったり、復元が難しくなったりするケースがあるからです。ペットのお漏らしは、ペットシートですぐに吸い取ること。吸水性が良いので、奥まで染み込むのを防いでくれます。

 
―― 除菌も一緒にできるのでしょうか?
高野:水洗いでほぼ除去できます。その時に界面活性剤などの洗剤成分が残っていると肌や体によくないし、洗剤は乾いても汚れを引き付けるので、せっかくキレイにしたつもりでも汚れやすい環境を作り出すことに…。その点、プロは専用の機材で効率よく除去していくので仕上がりが美しく、且つ安全といえるのです。

 
―― なるほど。プロに頼む利点がたくさんありますね。カーペットの他にもクリーニングを頼める製品はありますか?
高野:繊維素材で洗濯機で洗えないものですね。ラグやベッドのマットレス、ソファ、椅子、皮革製品もやっています。ものによってはお預かりして会社で洗浄する場合もあります。

 
価格だけでは判断できない
高度な知識と技術力

 
―― 改めて専門知識がないとできないお仕事だと感じました。

高野:まさにそうです。私たちは“専門職”という意識を持ってやっていますが、まだ清掃に対して、「安ければ安い方が良い」と考えておられる方も多いように感じます。価格だけで判断するのではなく、ぜひ、プロの高度な技術でキレイになるところを体験していただきたいです。
 

 

専用カーの中は、多くの機材や洗剤が整然と並べられていました。

 
―― 発注する側も価格だけでなく、サービスの価値を理解しないとダメですね。
高野:私たちも知識や技術の向上に努めていますが、利用する方にもその付加価値を知っていただけたら嬉しいですね。現状、この業界も構造的な問題を抱えていて、技術があってもコスパが悪いとか、機材が高くて購入できないなどの理由で、やりたくてもできない人がいるのも事実です。とても残念なことですよね。この先も優れた人材を育成していくために、利用する側の理解も不可欠だと思います。

 
起業から25年ほど経ち、ものを大切に使いたい、お気に入りの家具をキレイにしたいなど、こだわりのある方や環境への意識が高い方からの依頼も増えているそうです。ぜひ、この機会に気になっていたカーペットの汚れをプロの技でキレイにしてみてはいかがでしょう。
カーペットドクターの高野社長、本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

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