整理収納のプロが語る。心の整理から始めるモノの整理術
ミッシェルの整理収納スタッフへの指導も行っている鷲谷直子さん。整理収納アドバイザー歴13年の大ベテランで、延べ500軒以上のお家を片付けた実績の持ち主。ご自身も16年間暮らしたヨーロッパからの帰国をきっかけに、モノの整理と暮らしのダウンサイズに相当苦労されたとか。今回はそんな整理収納のレジェンドである鷲谷さんに、「心の整理」に寄り添いながら進める、整理収納術についてお話を伺いました。
常にお客様に寄り添いながら整理することを心がけているという鷲谷アドバイザー。
初回カウンセリング3時間。
会話の中から隠れたお悩みを引き出す
広報N:延べ500軒以上サービスに入られているそうですが、すごい軒数ですね。
鷲谷アドバイザー(以下、鷲谷):このお仕事を始めてもう13年になります。1軒につき複数回はお伺いすることになるので、回数でいうと1500回以上訪問しています。
広報N:ん〜すごい!やはり、訪問するご家庭はモノが多いお家ですよね?
鷲谷:そうですね。バブルを経験された50〜60代の方はモノが多い傾向にありますね。それより上の世代になると、生前整理を始めたいとか、ご両親が亡くなられるなどライフステージが大きく変化する時期で、それに合わせてお部屋を片付けたい、使い方を変えたいというご要望が多いです。
広報N:初見のお客様の家でどのように片付けを進めていくのでしょうか?
鷲谷:初回は3時間、カウンセリングと片付けデモンストレーションを行うのですが、主にお部屋を拝見しながら、「一番片付けたい箇所はどこですか?」「今後どのように暮らしたいと考えていますか?」「不便に感じているところはどこですか?」など、じっくりとお話をお聞きするところから始めます。一気にモノが増えたわけではないんですよね。長い年月の間に様々な出来事や、個々に片付けられないお悩みがあるんです。だから、まずお話をしっかりお聞きしてから、アドバイスを差し上げるようにしています。
広報N:会話しながらお客様のお悩みやご意向を引き出していくんですね。
鷲谷:物理的に片付ければいいという話ではなく、先に心の整理が必要なんですね。皆さん片付けたいお気持ちはあるわけで、私たちはその目標を達成するための伴走者、サポーターのような存在。だからまずモノを見ないで人を見るようにしています。お話の中からお客様の思いを感じ取り、その方のペースに合わせて片付けが進むようサポートしていきます。心の整理が進まないうちは無理やり片付けるようなことはせず、心を開いていただけるようお話に耳を傾けます。
広報N:寄り添いながら、一緒に片付けを進めていく感じですか?
鷲谷:そうですね。おひとりだと踏ん切りがつかなかったり、ご家族の間で意見が合わず平行線を辿ったりしますが、そんな時は、第三者的な立場でアドバイスをするようにしています。「捨てずに寄付されてみてはいかがですか?」など、新たな選択肢を提案することでご納得いただけることも多いです。
広報N:なぜなんでしょう?いつの間にかモノって増えている気がします。
鷲谷:カウンセリングでは必ずモノが「減らせない理由」と「増える原因」の両方お聞きするんですね。どちらか片方だけでは整理が進まないんですよ。「減らせない理由」は色々答えられる方が多いのですが、「増える原因」まで意識している方は少ないように感じます。よくお見かけするのが定期便の購入。まだ在庫があるのに翌月も届いてしまい、どんどん積み重なって置き場に困っている方もたくさんいらっしゃいます。
広報N:キャンセルする間もなく届いてしまうんですね。
鷲谷:これは使うサイクルと買うサイクルが合っていないことが原因ですよね。その場合は、「一度、ストップしてみてはいかがですか?」とお話して気づきを促すようにしています。他にも買ったことさえ忘れてしまっているダンボールがそのままという方もいらっしゃいますよ。モノが増える原因も同時に認識してほしいとお伝えしています。
広報N:セール品や期間限定品(笑)。購入した後に収納スペースがいっぱいで置き場所に困ること、あるあるです……。
鷲谷:収納する場所を決めると自ずとそこに入る量も決まってきます。可視化されれば余計に買うことも減らせますし、溢れてきたら古いモノを出して循環させるようにするんです。そうすることで掃除もしやすくなります。まとめ買いや季節外れのセール品ってその時は得した気分になるけれど、実は在庫を抱えることになる。場所代を考えれば不経済という見方もできますよね。新商品も次々出てくるし、結局目移りしてしまうことってありませんか?
広報N:ホントにそうですね。一時の気分で買ったモノって、実質お得だったのか分からないことも多いです(笑)
片付けやすいシステム作りで
快適な生活空間を提案する
広報N:やはり、今の生活に必要なモノを選別し、収納場所を決める。それが片付く部屋を作る第一歩なんですね。
鷲谷:そうですね。でも不用品を捨てれば終わりではなく、最終目標は、お部屋の間取りや生活動線を考え、お客様がひとりでも片付けられるよう収納の仕組みを作ることなんです。そのためにはまずモノの全体量を把握して、今の生活に不必要なモノを減らしていくことがファーストステップとなります。
広報N:整理が進み、やっと収納のステップになる?!
鷲谷:収納もただキレイに入れ直すというよりは、「いかに使いやすく配置するか」が大事。訪問するアドバイザーは、みな整理収納の理論を学んだプロですから、どの高さにどのようなモノを収納すればいいか、収納グッズはどれが使いやすいかなど、お部屋に合わせて綿密に収納計画を立てていきます。
広報N:以前、アドバイザーさんが細かく計測したプランニングシートを拝見したことがあります!
鷲谷:カウンセリングでお聞きしたご要望を実現させるために知恵を絞るのもアドバイザーの役割です。例えば、小さいお子様のいるご家庭ではリビングにおもちゃなどが散乱するので、サッと片付けられてお子様でも取り出しやすい持手の付いたボックスを配置したり、どこに何かあるか家族全員がわかるようラベルをつけて収納するなど、生活動線を考慮し誰でも片付けられるような仕組みを作っていきます。そうすることでアドバイザーがいなくなってもリバウンドしにくい部屋に変えていくんです。
広報N:なるほど。収納場所が決まればどこに入れるか迷うことも無いし、探す手間も省けますね。
鷲谷:はい。特にリビングは家族全員のモノが集まる場所なので片付けが一番大変なんですが、仕組みさえできていれば来客があってもサッと元に戻すだけなので楽ですよね。
広報N: 心の整理に始まりモノの整理に寄り添う。そして、仕上げは片付けやすい収納提案?!
鷲谷:重要なのは「整理した後にどのように暮らしたいか?」だと思います。遺品整理した後にそのお部屋を模様変えして使い方を変えたいとか、ネコを飼うために部屋のモノを全て片付けたいとか(笑)。何かしら先々の暮らしのイメージがあるお客様は、目標に向かって整理もスムーズに進むことが多いように感じます。
やはり、モノにも賞味期限があって、月日の経過と共に使わなくなったモノもたくさん出てきます。それらをずっと溜め込まず、節目節目で手放して循環させていくことをためらわないこと。これは私自身が暮らしのサイズダウンに苦労して得た教訓です。気持ちの整理に始まり、「ライフスタイルに合わせてモノの持ち方も変えていくこと」で、今の生活を快適にしていくことが整理収納の真髄だと思います。アドバイザーはお客様の未来の生活を応援する伴走者ですから、肩肘張らず何でもご相談していただければと思います。
整理収納アドバイザーの鷲谷さん、本日は素敵なお話をありがとうございました。春に向けてお部屋の片付けをやってみたくなりました!
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